苦みと風味への工夫

東和薬品では有効成分の苦みをマスキングした苦くない製剤や、味や香りをつけた製剤など、患者さんがより飲みやすい製剤の開発に取り組んでいます。

苦みをマスキングする技術

原薬には苦みのあるものが多いため、原薬自体をコーティングし、苦みを包み込むマスキング技術を開発。苦みを感じにくく、より飲みやすいお薬となるような取り組みを行っています。

風味の工夫

対象患者さんの好む風味をつけた製剤などの開発に取り組んでいます。特に小児用製剤では、小児が飲みやすいよう、ストロベリーやピーチなどの風味をつける工夫をしています。
また、他剤との併用を考慮して、あえて風味をつけていない製剤もあります。

製品味覚研究室

味覚への追求として、「製品味覚研究室」という専門の部門を2022年に立ち上げ、お子さんでも飲みやすい苦みの閾値の研究等、薬を飲む患者さんのニーズを考慮した取り組みを行っています。

代表例アトルバスタチンOD錠「トーワ」

胃溶性コーティングを強化し、飲みやすい製剤を開発

発売後も製剤開発に取り組み、2019年11月に味の改良に成功

有効成分のアトルバスタチンは苦みを有するため、発売後も製剤改良に取り組みました。苦みを感じにくくするため、胃溶性コーティングを強化しています。また、発売当初はペパーミント風味を採用しておりましたが、ヨーグルト風味に変更し、甘みを感じるタイミングが異なる2種類の甘味剤を使用することで、服用直後から後半の苦みの軽減を期待した味の改良に成功しました。

アトルバスタチンOD錠製剤設計
苦みマスキングの向上
胃溶性コーティングを強化
風味の変更
ペパーミント風味からヨーグルト風味に変更
甘味剤の工夫
甘みを感じるタイミングが異なる2種類の甘味剤
アセスルファムカリウムの追加とアスパルテームの増量

代表例クラリスロマイシンDS小児用10%「トーワ」

有効成分の苦みをマスキングし、小児が飲みやすい製剤を開発

有効成分のクラリスロマイシンは苦みを有するため、2層コーティングによるマスキング技術を採用しています。また、口腔内への残留とざらつきを防ぐため、苦みマスキング粒子の粒子径を100μm前後に設定しています。いちご風味の香料を使用、さらに複数の甘味剤を組み合わせ、小児が飲みやすい製剤としました。

図:苦みマスキング法
製剤設計イメージ

苦みマスキングのための新たな挑戦

苦みをコーティングしようと思っても、原薬の形がいびつだと、均一にコーティングすることが難しく、ムラができてしまいます。すると、口の中に入れてから飲み込むまでの間に苦みが溶け出してしまいます。そこで東和薬品では、より均一にコーティングのできる、丸みを帯びた原薬の研究を行っています。より均一にコーティングのできる原薬を開発することで、これまで以上に苦みを抑えた、飲みやすい製剤を作ることにつながっていきます。

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