包装の工夫

東和薬品は、患者さんや医療関係者にとって扱いやすい、高い品質の医薬品を提供することを大切にしています。医薬品は、調剤時、投薬時及び患者さんの服用時に取り違えることなく、本来投与すべき医薬品か容易に確認できる必要があります。厚生労働省からは、医療事故防止を目的とした表示事項での対策(*1)や、医療事故防止及びトレーサビリティといった流通の効率化を目的としたバーコード表示対策(*2)等、様々な対応が求められています。また、かかりつけ薬剤師制度の導入や地域包括ケアシステムの推進等、薬剤師の職務は広がりつつあリ、これまで以上に、より扱いやすい医薬品包装を開発することが求められると考えています。これらに迅速かつ的確に応えるため、東和薬品では、包装表示・デザイン・包装仕様を企画開発する部署を設置し、専門のデザイナーが、法律や通知、包装に関する最新情報、医療現場からのニーズを収集し、日々医薬品包装の有り方について検討しています。医療現場からのニーズに対してはMRを通じて収集するとともに、デザイナーが直接訪問しご意見をお聞きすることも積極的に行っており、より扱いやすい医薬品包装の開発と、既存包装の改良を推進しています。

*1、*2の対策について

ここでは、その取り組みの一部をご紹介します。

扱いやすい医薬品を目指した包装の取り組み

規格ごとに一貫した色を採用

複数の規格がある製品では、規格ごとにPTP、ピロー、個装箱に一貫して共通した色を使用しています。規格間の識別性が向上し、PTPをピローや個装箱で保管する際や薬品棚に薬剤を補充する際に、視覚的に判別しやすくなります。

PTPの工夫

切り離されても分かりやすいPTP*3

1錠ごとに製品名・規格を表示したり、含量を大きく分かりやすく表示したりする等、識別性を向上させています。少ない単位で調剤する場合にも、薬剤の取り違えのリスク低減が期待できます。また、持参薬監査の時間短縮につながります。

*3 PTPシートは1錠ずつ切り離せないよう横又は縦の一方向のみにミシン目が入っています。
誤飲防止のため、1錠ずつ切り離さないよう留意する旨が通知されています。(平成8年3月27日 日薬連発第240号「PTPの誤飲対策について」、平成22年9月15日 医政総発0915第2号・薬食総発0915第5号・薬食安発0915第1号「PTP包装シート誤飲防止対策について(医療機関及び薬局への注意喚起及び周知徹底依頼)」)

同一ステムの識別性に配慮したPTP

ジェネリック医薬品の販売名は一般名を基本としています。
一般名は薬効群を示す共通のステムに基づいて命名されますので、同じ薬効内での販売名の類似が懸念されます。

同一ステムの製品における取り違え防止の観点から、名称類似にも配慮しながら、PTP表面の耳部の文字レイアウトを調整しています。
*類似名称の調査には、医薬品類似名称検索システムを活用し広く調査を行っています。

右記製品のステム 
・DPP-4 阻害薬:-gliptin
・血液凝固第 Xa 因子阻害剤、抗血栓剤: -xaban

配合剤のPTP

ジェネリックの配合剤は日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会が統一ブランド(販売名)を命名しています。
一方、厚生労働省が公表している一般名処方マスターでは一般名称と含量のみが記載され、処方箋にも販売名がないことがあります。
東和薬品では、配合剤の薬剤の取り違えのリスク低減のため、一般配合剤ではPTPシートの表面上部に成分名と含量を表示し、一般名処方マスタと照合できるデザインになっています。

薬効マークの表示

薬効に加えて、その薬効をイメージしたマークを表示しているものもあります。医療現場で取り扱うときや患者さんやご家族、介護者が確認しやすいように配慮することで飲み間違いの発生を防ぐ取り組みをしています。

ピローの工夫

どの面から見ても製品名が分かるアルミピロー

アルミピローのまま棚に入れるので、どの面から見ても製品名が分かるようにしてほしいとのご要望があり、側面にも製品目の表示を追加しました。アルミピローのまま保管している場合にも一目で製品名が分かるため、調剤時間の短縮や薬剤の取り違えのリスク低減が期待できます。

個装箱の工夫

在庫管理に便利な切り取りラベル付きの個装箱

変動情報(使用期限、製造番号)を含んだGS1コード等、在庫管理に必要な情報を記載した部分をハサミを使わずに切り取ることができます。 この切り取りラベルを薬剤と一緒に保管することで、在庫管理に活用できます。

イメージ図

扱いやすいネットクッション緩衝材

従来の緩衝材では、緩衝材を取り出すときに錠剤が一緒にこぼれ出てしまうことがありました。製品ごとに検証し、こぼれ出やすい製品には錠剤がこぼれ出にくいネットクッション緩衝材の採用を行っています。また、上部に持ち手があり、取り出しやすくなっています。

キャップ等に貼付できる副片付きラベル(バラ容器)

バラ容器には、製品名、GS1コードを表示した副片付きラベルを採用しています。 副片ラベルは簡単に切り離すことができ、キャップ等に貼付できます。上から見てもどの製品か判別でき、どの薬剤のキャップかすぐにわかります。 副片ラベルを切り離した後も本体ラベルにGS1コードが残るデザインです。

曝露かつ調剤利便性を目指した抗がん剤

抗がん剤の曝露防止の対策として、包装を工夫。薬剤充填後のバイアルを洗浄し、破ビン防止のためにバイアル下部に台座を付加、その上から破ビン時の飛散軽減対策としてシュリンク包装を行っています。また、アルミシールに製品名を表示、その上に半透明のキャップを使用することで、調製時にもキャップを外した後も製品名を確認できます。

医療関係者の曝露軽減と調剤利便性を両立させたより扱いやすい抗がん剤の開発に取り組んでいます。

フルオロウラシル注250mg/1000mg「トーワ」

輸液バッグ等に貼付できる副片付きラベル(アンプル・バイアル)

アンプルやバイアルには製品名、GS1コードを表示した副片付きラベルを採用しています。
輸液バッグやシリンジに薬液を移し替えた際に貼付することで、製品名の確認ができます。

ファモチジン注射液20mg
「トーワ」

ベンダムスチン塩酸塩
点滴静注液25mg/1mL
「トーワ」

LCパックを採用することで遮光保存が不要に

有効成分の光に対する安定化のため、アンプル表面に遮光フィルム(LCパック:Light Cut Pack)を採用、使用直前まで遮光が保たれ、品質を保持できます。また、カット部位で胴部フィルムの上に枝部フィルムが重なり合っているため、フィルムの上からでも容易にカットできます。
他にもLCパックには、アンプルカット時、普通のアンプルに比べガラス微粉の混入が少ない、ケガ防止効果があるといった特徴があります。

オザグレルNa点滴静注液20mg「トーワ」

シリンジにおいてもUVカットラベルにて光安定性を確保1)しております。

包装形態①プラスチックシリンジに入れた製品 ②UVカットラベルを施したプラスチックシリンジに入れた商品
試験条件:25℃、60%RH、3000lx、1ロット(n=1)

※ピロー包装は使用時まで開封しないこと
試験項目 開始時 プラスチックシリンジに入れた製品 UVカットラベルを施した
プラスチックシリンジに入れた製品
30万lx·hr 120万lx·hr 30万lx·hr 120万lx·hr
性状 無色透明の液 同左 同左 同左 同左
pH 8.4 8.4 8.3 8.3 8.3
純度試験 規格内 規格外 同左 規格内 同左
不溶性異物 適合 同左 同左 同左 同左
不溶性微粒子 適合 同左 同左 同左 同左
含量(%) 100.0 99.2 96.6 99.6 99.0

1)医薬品インタビューフォーム

詳細は電子添文をご参照ください


オザグレルNa注80mgシリンジ「トーワ」

利便性向上を目指したバッグ製剤

ゾレドロン酸点滴静注4mg/100mLバッグ「トーワ」 は腎機能に応じた減量を要する製剤であり、薬液を抜き取ることを考慮しソフトバッグとして開発しました。通気針を使う必要はなく、薬液の抜き取りも簡便です。両面ラベルの表面は注意喚起文を分かりやすく表示、また裏面には、「腎機能に応じた減量基準(*4)」を表示しているため、バッグの裏から確認することができます。さらに残量確認が簡単にできるよう視認性の高い目盛もついています。

*4 腎機能障害患者では、血漿中濃度が増加するので、高カルシウム血症の治療に用いる場合を除き、腎機能の低下に応じて減量をおこないます。

ゾレドロン酸点滴静注4mg/100mLバッグ「トーワ」

乳幼児が開けにくいキャップ

乳幼児の誤飲を防止する*5ため、瓶での処方が想定される製品のキャップには、押しながら回さないと開封できないプッシュアンドターンタイプを採用しています。

*5 消費者庁 消費者安全調査委員会が取りまとめた調査では、子供による医薬品誤飲事故が報告されています。(平成27年12月18日消費者安全法第23条第1項の規定に基づく事故等原因調査報告書)

アトモキセチン内用液0.4%「トーワ」

*1 平成12年9月19日には、当時の医療事故の一部が製品の名称や容器、仕様等により引き起こされていたこともあり、厚生労働省より医薬発第935号「医療事故を防止するための医薬品の表示事項及び販売名の取扱いについて」が通知され、医薬品の包装表示等への対策が行われました。本通知により初めてPTPシートへの基本的な表示事項が定められました。平成16年6月2日には、薬食発第0602009号「医薬品関連医療事故防止対策の強化・徹底について」により、更なる対策が行われ、その後も、特定の剤形や成分に対して包装表示等への医療事故防止対策が行われています。

*2 医療用医薬品の特定用符号の容器等への表示は、令和元年法律第63号として令和元年12月4日に公布され、その後、令和4年12月1日が施行日と定められました。その関係として「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係省令の整備等に関する省令」(令和4年厚生労働省令第128号)が公布となり、その取扱いとして「医療用医薬品を特定するための符号の容器への表示等について」(令和4年9月13日医政産情企発0913第1号、薬生安発0913第1号)が通知されました。

出典:医療用医薬品特定用符号表示ガイドライン(医療用医薬品新コード表示ガイドライン改訂版)日本製薬団体連合会 バーコード利活用流通検討プロジェクト 2023年7月
http://www.fpmaj.gr.jp/seminar/_documents/2023/document-0703.pdf

2024年8月改訂(DC-004284_02)

プッシュアンドターンタイプを採用している製品一覧

中枢神経系用薬

その他の代謝性医薬品

アレルギー用薬