マスターコントロール導入による品質管理体制の質的強化

マスターコントロール株式会社の品質マネジメントシステム(以下、MCシステム)は、品質管理のマネジメントソフトウェアとしては、米国FDA他全世界の1100社(2024年12月時点)で採用されているグローバルスタンダードです。
MCシステムを活用することで、品質管理に関するPDCA(計画・実行・評価・改善)を効率的に回すことが可能で、医薬品や医療機器などの品質データの管理が厳しく求められている分野において、信頼性を確実に高められるとして広く支持されています。

MCシステムの導入で品質に係る情報管理が質的に向上します

信頼性の向上

今や社会インフラとなってきている国内のジェネリック医薬品は、業界として大きな転換期を迎えており、世の中から信頼され、必要とされる企業として成長することが求められています。東和薬品は、MCシステムの導入により、医薬品品質システムの電子化を実現します。

従来より、紙ベースでのシステムによってもData Integrityの原本性確保の観点から工夫を重ねることで規制の遵守に取り組んでいますが、紙ベースでの運用にはより多くの時間と労力が必要となります。例えば、署名のための文書の回覧、標準運用手順書の更新などを、手作業で行う必要があるため、意図しないミスが発生することを完全にはゼロにはできません。

MCシステムにより、品質管理に関わる情報のData Integrity管理下で業務を可視化・共有化できることで、リアルタイムで正確なデータに基づいた迅速な意思決定が可能になります。また、システム内で管理される情報には、品質イベント(逸脱処理、変更管理)だけでなく、手順書や教育記録、マネジメントレビュー、CAPA(是正処置、予防措置)などが含まれますので、MCシステムを行政査察に活用することで、迅速で信頼性の高い調査対応が可能となります。

このように、人の手作業では限界のあった部分をMCシステムで補うことで、堅牢な品質管理システムを保証し、今まで以上に信頼できる東和薬品の医薬品を患者さんや医療関係者へ提供していきます。

知識の有効活用

国際的な医薬品品質管理ガイドライン(ICH Q10)では、「知識管理」を次のように定義しています。

“製品、製造プロセス、そして構成材料に関連する情報を集めて、分析し、保管し、共有することで、それが『知識』となり、その知識に基づいたアクションが導かれる”

MCシステムは、情報をリアルタイムで記録し、管理できるシステムです。これにより、情報の正確さと信頼性が向上し、Data Integrity(データの完全性)が担保されます。その結果、組織全体で信頼できる知識として共有できます。

東和薬品は、製品開発の初期段階から製品の販売終了までの医薬品のライフサイクルに渡り、MCシステムを利用してデータの正確さを保ちながら、知識の共有と活用を進めます。製品開発が進むにつれて新しい知見が得られ、また製品の商用生産段階で発生する品質イベント事象からも多くの知識が得られます。これらの知識はMCシステムを通じてシームレスに蓄積して活用でき、1つの製品に関する知識ベースが構築されます。
この知識ベースにより、品質リスクの評価が正確に行われ、より安定した生産活動が実現します(増産のためのスケールアップや製造所追加なども含む)。さらに、この知識ベースを新しい製品の開発や継続的な品質リスクマネジメントに活用することで、過去の知見を最大限に活かし、効率的かつ効果的に製品を開発・改良することが期待できます。
知識の有効活用:全体的・包括的な活用(Holistic approaches)
知識の有効活用:全体的・包括的な活用(Holistic approaches)

※品質リスクマネジメント
GMP省令第二条(定義)
「品質リスクマネジメント」とは、医薬品に係る製品について、品質に好ましくない影響を及ぼす事象及びその発生確率(以下「品質リスク」という。)の特定、評価及び管理等を継続的に行うことをいう。

グローバル展開の加速

東和薬品は、国内外で医薬品の製造販売事業を展開し、日本発のグローバルジェネリック医薬品企業として成長を続けています。グループ会社であるTowa Pharma International Holdings, S.L.(スペイン)との協働も、一部の製品を製造して、日本に輸入するなど、確実に効果が出始めています。

日本市場向けのエソメプラゾールカプセルを生産するマルトレージャス工場では、東和薬品に先立って品質マネジメントシステムを導入しており、この経験を参考に、逸脱や変更管理等に関する業務の流れを検討し、東和薬品グループ全体で運用可能な品質管理システムの業務の流れを構築しました。全ての工場が同じ運用基準で品質管理を行うことで、グループ間での業務連携が容易になり、国内外の医薬品の安定供給を支えるためのグローバルな事業展開が加速します。

東和薬品グループの世界拠点地図

東和薬品の未来

東和薬品は、人々の健康と生命に関わる製薬企業としての責任を深く認識し、高い倫理観に基づく行動と法令遵守を徹底しています。今後も全社一丸となって、品質と信頼性の向上を追求し、患者さんと医療関係者にご安心いただける製品を提供していきます。

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