ニトロソアミン類の管理戦略~東和アミンアプローチを始動~
2021年10月8日に厚生労働省から「ニトロソアミン類の自主点検に関する通知(以下、通知)」が発出されました。 東和薬品は本通知に従って、承認済みの778品目(2021年12月10日現在)ならびに 今後開発予定の全品目について、ニトロソアミン類の混入リスクを2023年4月30日までに評価し、 必要と判断する場合には2024年10月31日*までに製造法変更等のリスク低減策を講じます。 医薬品へのニトロソアミン類の混入リスクを回避するためには、より確実にリスクを評価する取り組みが重要です。 東和薬品では、製剤中のニトロソアミン類の検出にとどまらず、ニトロソアミン類の生成原因に着目した、“東和アミンアプローチ”を始動させました。
*『「医薬品におけるニトロソアミン類の混入リスクに関する自主点検について」の実施期限延長について』(2024年7月30日付け通知)により、2025年8月1日までに延長されています。
東和アミンアプローチとは
ニトロソアミン類は、アミン類と亜硝酸類が反応して生成されます。ニトロソ基(-NO)の供給源は広範囲に及びますが、 原薬中にアミン類が存在しなければ、原薬由来のニトロソアミン類の生成、混入ルートを遮断することが可能となります。 そこで、東和薬品が取り扱う全ての原薬について、通知に掲載されている9種類のニトロソアミン類生成に関与する、 “原因アミン類の有無“の分析、調査に着手いたしました。原薬へのアプローチならびにその結果を、778品目に及ぶ全製剤のリスク評価に活かすと共に、リスクに応じた段階的かつスピード感をもった取り組みを進めて参ります。
原薬を用いて、対象の原因アミン類(以下の9種類)の残留の有無を調査します。
原因アミン類 | ニトロソアミン類 |
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ジメチルアミン | N-ニトロソジメチルアミン(NDMA) |
ジエチルアミン | N-ニトロソジエチルアミン(NDEA) |
メチル-4-アミノ酪酸 | N-ニトロソ-N-メチル-4-アミノ酪酸(NMBA) |
N-メチルアニリン | N-ニトロソメチルフェニルアミン (NMPA) |
エチルイソプロピルアミン | N-ニトロソイソプロピルエチルアミン (NIPEA) |
原因アミン類 | ニトロソアミン類 |
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ジイソプロピルアミン | N-ニトロソジイソプロピルアミン(NDIPA) |
N-メチルピペラジン | メチル二トロソピペラジン (MeNP) |
ジブチルアミン | N-ニトロソジブチルアミン(NDBA) |
モルホリン | N-ニトロソモルホリン(NMOR) |
製剤は、有効成分の他、様々な添加物から成ることから、微量成分の分析においては、複数成分からなるピークの重複等により目的とする成分の検出が困難な場合もあります。東和アミンアプローチは、製剤中のニトロソアミン類の有無の分析に加えて、その原因となるアミン類を、夾雑物の影響が少ない原薬で評価する取り組みです。“製剤中のニトロソアミン類の評価”に“原薬中の原因アミン類の評価“を加えた二重の評価により、安心・安全な製剤を医療関係者や患者さんにお届けしていきたいと考えております。