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医薬品の体内動態に関する研究

東和薬品では、さまざまな製剤工夫を施した、付加価値の高いジェネリック医薬品を開発しています。(詳しくはこちら
付加価値を加えた新たな製剤を、適切に評価して早く世の中に出すこと、また医療関係者、患者さんに安心して使用していただくことを目的に、医薬品の体内動態に関する基礎研究を行っています。自社の製剤開発に生かすことはもちろん、積極的に学会発表や論文投稿を行っており、より良い製剤の開発や医薬品の適正使用の参考となる情報づくりに貢献できるよう取り組んでいます。


フロースルーセル法溶出試験に関する研究

フロースルーセル法は、試験液の量や組成を柔軟に変更することが可能であり、難溶性薬物含有製剤の評価や人の生体内を模した実験系の確立へ有用な方法であると期待されている試験法の1つです。一方で、使用事例が少なく、試験結果に影響を及ぼす要因に関する研究報告が少ないという課題があります。

そこで東和薬品では、大きく2つのテーマで研究に取り組んでいます。

  1. 試験結果に影響を及ぼす変動要因を把握、整理し、再現性が高い試験条件を明らかとする。
  2. 人の生体内環境(水を飲む場合、飲まない場合、絶食時、食後など)を反映し、さまざまな条件で人が医薬品を飲んだときの体内挙動を予測する。

本研究を通じて、医薬品を、より人の生体内環境に近い条件で評価することで、より良い製剤の開発や医薬品の適正使用に貢献したいと考えています。

フロースルーセル法溶出試験装置(SOTAX社製 CE-7 Smart)

フロースルーセル法の溶出試験装置は試験液の貯層と送液用ポンプ、セル、試験液を37±0.5℃に保つための恒温水槽からなります。

溶出性を確認しているところ(左) セル内で錠剤が溶ける様子(右)

フロースルーセル法溶出試験では、セルと呼ばれる小さな入れ物に試験製剤を置き、セル下部から試験液を導入します。物理的影響が少ない試験液の流れのみで、薬物が溶けていく様子を試験することが可能です。


胃内水分量に関する臨床研究

経口投与された固形医薬品は胃や腸で崩壊・溶出し、溶解した成分が体内へ吸収されることで効果を発揮します。医薬品からの薬物の崩壊・溶出過程は、医薬品の製造法や添加剤に影響される場合があるため、通常、日本薬局方に定められた試験により、品質、安全性を確認しています。しかし、日本薬局方に定められている試験は、品質、安全性の担保を主な目的としており、体内での詳細な医薬品の崩壊・溶出過程を知るために設定された試験ではありません。もし、より人の体内を模した状態で、崩壊・溶出過程の詳細を知る試験が可能となれば、被験者を使用した臨床試験の減少や、より速やかな製剤開発につながると考えます。

東和薬品では、人の体内により近づけた試験系を確立することを最終目的とし、人の胃内水分量を知るための臨床試験を行いました。解析の結果、絶食時の人の胃内水分量は約40 mLであると考えられました。この結果をもとに、医薬品を服用した直後の胃内での崩壊・溶出過程や医薬品とともに飲む水分量の影響に関する研究を行い、人の体内により近づけた試験系の確立を目指していきます。


低胃酸被験者での生物学的同等性試験実施に関する研究

ジェネリック医薬品の開発では「生物学的同等性試験(以下BE試験)」を実施し、先発医薬品に対する治療学的な同等性を保証しています。通常、BE試験は健康成人被験者で実施しますが、医薬品の特性によっては、低胃酸被験者による試験が必要となります1)。実際には低胃酸被験者を集めることは難しいため、健康成人が胃酸分泌抑制剤などを服用することにより低胃酸状態を作り出し、“低胃酸被験者モデル”としてBE試験を実施することが可能です2)。しかしながら“低胃酸被験者モデル”作成のための標準的な手法はありませんでした。

胃内に挿入したpH電極の透視画面
pH電極を経鼻的に胃内に挿入し、胃内pHを測定、低胃酸状態が維持されているかを確認しました。

そこで東和薬品では、異なる作用機序の胃酸分泌抑制剤は利用可能か、食事の影響はあるのか、何回投与しなければならないのか、など低胃酸状態を維持するためのさまざまな手法を模索し、臨床試験により確認を行ってきました3)

今後、低胃酸被験者を集めることが困難でBE試験を見送っていた製剤についても本方法を利用し、より迅速な製剤開発へ貢献したいと考えています。

  • 1) 後発医薬品の生物学的同等性試験ガイドライン等の一部改正について(平成24年2月29日付 薬食審査発0229第10号、別紙1)
  • 2) 後発医薬品の生物学的同等性試験ガイドラインQ&A(平成24年2月29日付 事務連絡、別紙1)
  • 3) 白源正成、内丸比奈子、立木秀尚、松井隆、月川洋、和田由美子、渡辺聴正、江藤隆、松木俊二、坂田之訓、都留智巳、入江伸:胃酸分泌抑制剤を用いた低胃酸状態下での生物学的同等性試験デザインの検討〜PPI投与後の胃内pH推移の評価〜、第33回日本臨床薬理学会学術総会(2012)

関連論文・学会発表

フロースルーセル法溶出試験に関する研究

  • 立木秀尚:IVIVCの医薬品承認申請への利用-生物学的同等性試験を目的とした開発での事例-
    第一回ファーマコメトリクス研究会プログラム・講演要旨集1:p.20-21 (2008)
  • 榎田尚一朗, 杉山恵理花, 橋詰栄敏, 立木秀尚, 斉藤清美, 佐藤均:溶出試験データから血中濃度予測する手法(IVIVC)の妥当性に関する検討, 日本薬学会年会講演要旨集129 (4):p.285 (2009)
  • IVIVC関連シンポジウム “製剤の溶出試験に関するIVIVCと今後の展望”(パネルディスカッション), 第3回 日本ファーマコメトリクス研究会 (2010)
  • Y. Saibi, H. Sato, and H. Tachiki: Developing in vitro-in vivo correlation of risperidone immediate release tablet, AAPS PharmSciTech. 13 (3):890-895 (2012)
  • −政策創薬におけるヒューマンサイエンス総合研究(官民共同研究)の推進−医薬品製剤及び製造工程の科学的開発戦略を実現させるための製剤評価及び製造工程評価法の開発研究 厚生労働科学研究費補助金(創薬基盤推進研究事業)・政策創薬総合研究 研究報告書:p92-96 (2012)
  • −政策創薬におけるヒューマンサイエンス総合研究(官民共同研究)の推進−製剤特性評価及び製造工程管理に基づく機能性製剤等の総合品質管理戦略確立に関する先端的評価科学研究 厚生労働科学研究費補助金(創薬基盤推進研究事業)・平成23-25年度総合研究報告書:p36-40 (2014)

胃内水分量に関する臨床研究

  • Yamashita S, Kataoka M, Higashino H, Sakuma S, Sakamoto T, Uchimaru H, Tsukikawa H, Shiramoto M, Uchiyama H, Tachiki H, Irie S: Measurement of Drug Concentration in the Stomach After Intragastric Administration of Drug Solution to Healthy Volunteers:Analysis of Intragastric Fluid Dynamics and Drug Absorption, Pharm Res, 30(4):951-958 (2013)

低胃酸被験者での生物学的同等性試験実施に関する研究

  • 白源正成,内丸比奈子,立木秀尚,松井隆,月川洋,和田由美子,渡辺聴正,江藤隆,松木俊二,坂田之訓,都留智巳,入江伸:胃酸分泌抑制剤を用いた低胃酸状態下での生物学的同等性試験デザインの検討〜PPI投与後の胃内pH推移の評価〜,第33回日本臨床薬理学会学術総会(2012)
  • 白源正成,内丸比奈子,月川洋,千代田健志,木村美由紀,稲田健一,石橋元規,山口亜希子,立木秀尚,松井隆,田川公造,加治良一,入江伸:低胃酸状態下での生物学的同等性試験デザインの検討〜胃酸分泌抑制剤投与後の胃内pH推移の評価〜,第34回日本臨床薬理学会学術総会(2013)
  • 立木秀尚:「PPI投与による低胃酸被験者を模した臨床試験条件の構築」(第13回医薬品品質フォーラム『生物学的同等性に関する最近の議論 -BE試験ガイドラインの改訂及び開発段階におけるBA/BEの評価-』, 2013年1月, 東京都)
  • M.Shiramoto, E.Chung, H.Uchimaru, T.Eto, M.Inoue, H.Tachiki, S.Irie:Intragastric pH Transition Induced By Rabeprazole : Investigation of Clinical Study Design, The 12th Congress of the European Association for Clinical Pharmacology and Therapeutics (EACPT 2015)
  • 白源正成,井上恵,和田由美子,神代弘子,内丸比奈子,伊藤一弥,山口亜希子,立木秀尚,松井隆,月川洋,生島一平,入江伸:低胃酸状態下での生物学的同等性試験デザインの検討〜PPIおよびH2 -blockerの投与法による胃内pH推移の検討〜,第36回日本臨床薬理学会学術総会(2015)
  • 白源正成,井上恵,和田由美子,神代弘子,内丸比奈子,伊藤一弥,山口亜希子,立木秀尚,松井隆,月川洋,生島一平,入江伸:低胃酸状態下での生物学的同等性試験デザインの検討〜ファモチジン投与による胃内pH推移の評価〜,第36回日本臨床薬理学会学術総会(2015)
リサーチ活動
  • T-LEX法
  • 製造販売後調査
  • 東京大学COI
  • 医薬品の体内動態に関する研究
  • 学会レポート
  • 投稿論文
  • 医薬品服用時の飲水量に関する調査

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